たまごの選び方

一歩、日本から外に出れば、わたし達がみている景色とは全く異なる風景が広がっています。 日本の常識は世界の非常識。

日本の養鶏場の90%以上が採用しているケージ飼いは、スイス、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、ベルギー、オーストリア、オランダ等ではすでに禁止。 平飼いやニワトリが自由に動き回れるケージが義務づけられています。 EUやOIE(国際獣疫事務局)は自然から隔離されたニワトリの卵は健康な卵とは言えないと強く主張しているのです。意識が高いのはヨーロッパだけではありません、アメリカやオーストラリアでもケージ飼いの廃止が既に決まっている州もあり、自主的に平飼い卵を使う大手ファーストフードもある程です。

鶏の寿命は10年といわれていますが、ケージ買いは約2年で食肉加工されます。鶏は自分の養鶏場で生まれたひよこではなく、買ってゲージで育てるのが一般的です。新種改良でより多くの卵を産む鶏の研究も進んでいます。卵を買う際には、品種は全くわからないし、抗生物質や遺伝子組み換えトウモロコシを常時食べさせているかも。皆目わかりません。消費者は、値段と経験がたよりです。たまごの表面がざらざらの物がよい、でも、ほとんどの卵は出荷前洗浄されているからざらざらはわかりません。

私は、食品を買う基準の一つに、自然の法則に基づいてつくられたものかどうかという基準です、安い玉子はすべてゲージです。ゲージというのは幅30センチの一回転することのできないスペースに、生きる為に臭い餌を強制的に食べさせられ、機械のように玉子を生み続ける製造機です。もしも、自分がゲージの鶏だとしたら、ぞっとします。だから、そのような玉子は買いません、食べません。食べなくても生きていけます。ほうれん草も太陽に光の無い人工栽培でもできます。その方が葉に汚れが付かなくて清潔かもしれません。でも、自然の法則ではありませんから、買いません。

中国野菜、農薬や栽培方法がわからないので買いません。きれい水耕栽培なら大丈夫。でも太陽や土がなく、水に成長ホルモン剤が入れられてるかも知れないから買いません。私の場合、ほうれん草は友人がくれます。なぜなら、自分ででつくってるから安心・安全ですし、ほうれん草が取れすぎて食べきれないのです。

生きる・食べるということに真剣に取り組むと、いつも間にかそのような友達ばかりになっています。悪いやつらに会うと、悪い仲間ができるのです。

千葉県旭でひら飼いでご自身で養鶏場を営んでおられる方がいらっしゃいます。雑草に囲まれ蝶々や虫たちが元気です。鶏舎は臭くありませんし、さわやかに風が吹き抜けています。それが当然です。鳥も日本原産の鳥を産みひよこを育てています。とても手間暇かかります、卵は10個800円です。高いですよね。でも、売れています。大松さんの人柄をみんなが惚れこんで信用しているからです。安心は、お金では買えません。新鮮なたまごかけごはんでも1杯150円で充分です。そう考えれば、安いものです。それに後味さわやか。これは何にも勝る幸福です。

卵の選び方。色は赤?白?大きさは大きい?小さい?ヨード卵?産卵日、産出日。賞味期限?すぎたら?1人で年間300個も消費している卵、食材としては、優等生で他の加工食品等に比較すれば安く、誰でも買えてしかも栄養も兼ね備えている。スーパーの特売で客集めとしては、常連で卵で損をしてもトータルで利益がでればという考え方もある。事実、先着50名無料や、お一人様1パック限り、10個入り120円限定500。店はあれこれ知恵を絞って、客集めに躍起になっている。

値段の高いものは、1個100円もする。しかし、自然農法で全く自家養鶏している人にとっては労働力を考えれば大変です。それにもまして今年はコロナでレストラン需要が閉ざされ赤字経営です。そのうち、養鶏場は時代に流されてなくなるかもしれません。

今の世の中、生産者が本当に安心。安全の卵を生産するのなら、消費者もそれを受け入れ高くて当然と思うのですが、これまた悪い卵を見せかけで高く売る輩がいるからご用心。勉強してない人ほど、だまされる確率は高くなるのです。多分、消費者の大半は値段が安い、あとはその日の気分次第でマイバスケットヘ。

ほとんどの消費者は、安ければいい、事実安売り大盛況で当日はもう、我先に列に並び時間によっては1時間も待つ人がいる。でも。それって、普段店中で販売されているものと品質や条件はおなじだろうか?いや。それさえ考えている人はほとんどいない。そのようなものすべてがそうだとは言わないが、今日は売れそうだから鶏に頑張ってもらって生産は5000。明日は台風だから生産は100。相手は生き物だからそんなことはできない。

今は冷蔵技術が発達しているから、出荷調整をして市場に出しているのが一般的である。つまり、賞味期限も出荷段階から約2週間であり、またラベルのも産卵日の明記は必ずしも必要ない。小家族や、1人暮らしが多くなって、10個パックではなく、6個入り、4個いりパックも登場しているが、よく考えて無駄のない、おいしい卵料理を楽しみたいと思います。

お母さんの卵焼きが世界で一番。こんな言葉を言えるような子どもがいたなら、まだまだ日本は安心・安全だとおもいます。(食養指導士 三橋敏次拝)

 卵のことをもっと知りたければ