陰陽と食べ物

食養の考え方に陰陽の物差しを

 

この物差しは絶対的ではないが、知っておくと便利なものです。

食べる人の健康状態や、住んでいる土地の気候風土などの環境的な条件を考慮する生き方の物差しです。

その人の体質や不調、病気等の原因が「陰性過多」か「陽性過多」なのかを判断し、それと気候の陰陽、土地の陰陽などの条件を加味して、食事を考えていくというものです。

 

春夏秋冬 (気候の陰陽と食べ物の関係)

冬がいちばん陰性で、

真夏が陽性のピークになります。

冬には陽性な食べ物(下記参照)が必要になります。

夏には体を冷やす陰性な食べ物(下記参照)が必要になります。

 

住んでいる所

寒冷な地方は陰性で、暑い地方や南国は、陽性です。

湿気の多い土地は陰性で、乾燥した土地は陽性です。

高度の高い土地は陰性で、低い土地は、陽性です。

山間部は陰性で、海岸部は陽性と考えます。

つまり、山間部に住んでいる人は、海岸部に住んでいる人よりも、少し陽性な食事を心がけたほうが良いということです(あくまで相対的に考えています)。

 

体質

体が冷えていて寒がりな人、虚弱な人、動きがゆっくりの人、声の小さい人、かん高い声の人などは、陰性体質です。

体が温かく寒さ知らずの人、暑がりな人、活力のある人、動作が機敏な人、声の大きな人、低い声の人などは、陽性体質です。

 

体を陰陽の視点でみていく。

「体質」、「体調」の両方をみていきます。

「体質」は、胎児の時にほぼ決まりますが、生まれたときの陰陽のかたよりがあっても、食べ物の陰陽のバランスがとれていれば、「体調」は良いもので、健康で幸せな人生が送れるといっても過言ではありません。

陰性体質は、低体温や低血圧で放置しておくと、白血病や膠原病などの陰性病を引き起こす可能性があります。

冷え症と、高血圧症には、陰性タイプと陽性タイプがあり、高血圧症では、動脈硬化や脳溢血などの陽性病があり、心臓の病気でも、心臓肥大は陰性だが、心筋梗塞は陽性と考えられます。

体の状態が陰性なのか、陽性なのかわからない時もよくあるが、その時は、体温を測り、36度を下回っている時は陰性と考えます。

陰性の病気は、陰性の食べ物の過剰摂取や、陽性の食べ物の不足が原因で、陽性の病気は、陽性の食べ物の過剰摂取や、陰性の食べ物の不足が原因としています。

 

基本的に、陰性に傾いた体には陽性の食べ物を選択し陽性に傾いた体には陰性の食べ物を使って、中庸にもっていきます(中庸とは、陰と陽の真ん中を言います)

健康な人は、あまり陰陽にこだわらなくても穀物を中心にした中庸の食事を心がけていれば大丈夫です。実際には、食べてみて、おいしい、おいしくないと味わうことで、殆どが判断できます。

 

次回は、同じ食材を調理方法によって、陰性な料理・陽性な料理に仕上げるというテーマでコラムを執筆致します。

児玉 陽子

管理栄養士

18歳で皮膚病、23歳で結核を患い日野式を実践、食養を学び、1969年から河野臨床医学研究所付属北品川総合病院で食養指導を開始。内科医の日野厚博士と共に、我が国で初めて一般病院(松井病院)に食養内科を創設し、40年近くにわたり2万人以上の患者の食生活指導にあたる。現在はフリーランスで活躍中。家庭における食生活の大切さを説き、多忙を極めている。生活習慣病と食の関係につて、造詣が深い。著書に『臨床栄養と食事改善指導』『アレルギーにならないための離乳食』共著(緑書房)などがある。
児玉 陽子