三橋 敏次 ブログ

一般社団法人 日本綜合医学会 前事務局員。NPO日中リフレクソロジー協会会長。千葉支部代表。 習志野ラフタークラブ代表。高校生物クラブ部長ロゼット植物の越冬と成長の記録で千葉県議会賞。趣味は旅、全国巡礼旅。お金のかからない健康法(笑いヨガ講師、リフレ講師、食養指導士)の伝道師として、ボランティア活動中。5年前より、食問題に取り組み、プログを更新中。令和2年8月現在約300人のフォロワーがいる。

 

 

 

人類を救う玄米食

「人類を救う玄米食」。勉強すればするほど玄米に魅せられていますが、日本の現状を知るにつけ、それはもう前途多難で、もっと正直に言うならば夢幻となってしまう可能性の方が大きいと危機感を強めています。なぜ、私がそう思うのか?1997年発表されたアメリカ上院栄養問題特別委員会報告書(マクガバン・レポート)は、いまこそ肉食中心の間違った食事をやめて、未精製の穀物(玄米や玄麦、全粒穀物のこと)季節の野菜、海藻、小魚などを中心とした食生活に改めるよう報告しています。さらに2005年に発表されたThe China Study(ザ・チャイナ・スタディ)では、動物性食品は癌の最大の要因であり、この食習慣を止めなければ、癌ばかりか、心臓病・脳梗塞・糖尿病・骨粗鬆症・関節リウマチほかの様々な自己免疫疾患・アルツハイマー病・白内障・加齢黄班変性(AMD)など、あらゆる病気を発症する可能性が大きくなることが指摘されています。しかし、 日本ではこれらの報告書はことごとく無視され、相変わらず食文化についてはアメリカの影響を受け、日本人の命の玄米食が闇に葬り去られようとしているのです。世界は、人口爆発だというのに、日本人は少子高齢化・人口減少に歯止めがかりません。しかし、諦めたら終わり。健全な日本人を作るのは伝統的な日本食であり、暮らしやすい日本を創るのは日本人なのですから。人口数は国力であり、尖閣諸島や北方四島も交渉が延々と引き延ばされ、永久に返還されないのではないでしょうか?本当に玄米を愛し、玄米を1人でも多くの人に喜んで食べてほしいと心から願っています。天人合一。人類誕生から6500万年。生き残るには、金持ちでも権力者でもなく、自然に順応して、正しい食事を実践した人なのです。

1.食卓のかげの星条旗(米国からジャパンへの贈り物?)

戦前、日本では玄米と胚芽米の普及をめぐり国内で大論争を巻き起こしましたが、結局アメリカの輸出政策(余剰小麦で日本の食卓を変える=キッチン・カー運動)によって、みそ汁と米が否定され、政府、学校関係者、大手食料メーカーがこぞって輸出に協力したのです。小麦が戦後の食糧難の時代、学校給食のパンとして普及した一面を考えればアメリカは命の恩人であり、感謝の気持ちを忘れてはいけません。しかし、その裏で最後の自給食料である米の消費が根底から覆され、日本の余剰米対策をないがしろにして、アメリカの余剰小麦を大量に買いつけ、米農家には補助金を出してまで減反政策を推し進めた国の責任は重大な誤りであったと言わざるを得ません。驚くべき事実は、玄米論争の中心にいた方たちも、白米に問題ありといっせいに寝返りうって、米を食べると頭脳の働きが悪くなるとか、それどころか早死に・・・と粉食奨励に走り完全に国民の米離れを加速させたのです。現在急増している糖尿病は、肥満、過食、高脂肪食、運動不足、ストレス、喫煙などの因子が重なって、発症すると考えられていますが、ある統計調査によれば患者数はこの50年で50倍に増えていると推測されています。血糖をコントロールするインシュリンは大正時代後期発見されましたが、これがなかったら・・・・もっと、もっと危機的状態になっていたことは間違いありません。その他昨今の生活習慣病の増加、難病奇病の多様化等によって国民医療費や介護費用は50兆円ともいわれ、それらは食に起因する所が大きいのです。今、日本列島は健康問題が暗雲に覆われているのに、食と病気の関係については、誰一人責任を問わず、結果責任をも国民に擦りつけて知らんふりを決め込んでいるのです。元アメリカ農務省の高官は、日本でのキッチン・カー運動がこんなにも、日本国内にスムーズに浸透するとは思わなかったと、日本人の協力姿勢を高く評価しています。最近の研究によれば、食品添加物や残留農薬の摂取によって、精子、卵子に異常をきたし、肉食過多によって大腸癌の増加も日本人に特出しています。

NPO綜合医学会は今年61周年を迎えます。先輩方が当時の日本を憂えて学会設立しましたが、その通りの日本になっているのは大変残念です。

2.TPPは、第二のキッチン・カー運動?

平成27年10月、安倍総理はTPP(Trans-pacific Strategic Economic Partnership Agreement = 環太平洋戦略的経済連携協定)の大筋合意をうけて、まさに平成の開国であり、国内では、耕作地大規模化、若者の農業従事者雇用促進、農産物の海外輸出高増加、海外からは、関税撤廃の恩恵を受けて安い農産物が入手でき、国民の生活が豊かになるとバラ色の日本の将来を自画自賛しています。

しかし、アメリカは、キッチン・カー運動で蓄えたノウハウをもって、今TPPで農畜産物の大量消費地として日本を想定しているのです。関税が撤廃されても円安になれば、安い買い物はできません。私は、TPPはアメリカによる第二のキッチン・カー運動だと思います。あの時と同じように、すでに経団連に触手を延ばし青写真は既に出来上がっているのです。キッチン・カーであれば止めることは出来たかもしれませんが、今回のTPPは途中で間違いに気づいても走り始めたら、後戻りできない仕組みなのです。アメリカに本社を構えるアグロバイオ企業「モンサント社」は、一世代種子(F1種子)や遺伝子組み換え技術、さらに農薬(除草剤)をセット販売して莫大な利益を得ています。さらに、クローン技術やバイオ技術を駆使して、自然界に存在しない光るキャベツや眠らせぬブロイラーの研究開発も進んでいます。一世代種子は種がとれないので、契約農家が種を所持していれば直ちに契約違反で訴えられます。紛争解決センターも審判がアメリカ寄りなのですから、勝負になりません。事実、ISD条項が発令された紛争で米政府が負けたことは一度もありません。インドの主要産業綿花、メキシコの主食とうもろこし・・・・モンサントが種子を売り込んだ国々では、真面目な農家が総破産状態なのです。今後日本の農業政策は、安心、安全よりも大企業優先の収穫効率や収益率向上に軸足が置かようとしています。さらに、遺伝子組み換えの表示、添加物表示など企業側が不都合な真実はすべて撤廃されるのも時間の問題です。フード・マイレージが長くなるほど、農業が大規模化するほど安心、安全の担保は保証されにくくなります。収穫後もポストハーベスト処理されるなど、いつ、どこで、どのような処理がされているのか消費者は知る由もありません。

私が、食に関心をいだいたのは水俣病を知ってからです。ご承知のように水俣病は、有機水銀に犯された魚を食べたことが原因で、発症から60年以上経た今も多くの人々がいまなお、病に苦しんでいます。昔からの一家団欒、毎日の生活の中で食卓にのぼった魚は安全な物と信じて疑いません。その本来安全な筈の魚を食べて、水俣病に冒されたのです。

水俣病に認定されない人達は、救済の手もままならず、自分が水俣病であることを隠してまで生きている人も多いのです。何の罪もない平和に暮らしていた人の未来までも壊しているのです。不思議な食べ物は、水俣の教訓を繰り返そうとしているのです。

国や大企業がこぞって、TPP推進しています。要するに儲かるのです。賢い人は、農薬や遺伝子組み換えの怖さを悟り、自分だけは賢く生き延びようと穀物菜食をこっそり実行しています。自分の健康を守るのは、自分自身でしかできません。

3.金の切れ目が、命の切れ目(自然は征服できない)

1990年代前半まで、日本は農家の保護のために,一粒たりとも持ち込ませないと米の輸入はしていませんでしたが、1995年にGATT(関税貿易一般協定 現:WTO)で「日本はお米の輸入をしなければならない」と定められました。そこで政府はミニマムアクセスと言われる最低限の量のお米のみを輸入しましたが、それ以上の輸入を抑制するために高い関税をかけました。今回のTPP交渉では、米の例外事項は、国民に対するジェスチャーだけで、結局は米の輸入も限りなく自由化の方向で大筋合意したのです。早速外食産業からは、歓迎の声が届き、オバマ大統領は農畜産物の日本輸出増加を戦略として打ち出しています。国の政策によって、食料自給率は急速に低下し、昨今は39%前後を推移していますが、平成20年、平成37年度の自給率目標を50%に定めました。が舌の根も乾かぬ内に平成26年45%に下方修正しました。さらに、TPPに参加すれば13%になると予想されているのです。現在の算出方法はカロリーベースですが、これまたわかりにくい算式で、そのうち都合が悪くなれば、恥ずかしくて発表できないと思っています。これは、TPPによって国が日本の食料政策を海外依存する明確な証です。主食までも海外だよりでは、耕作地が天候不順や災害に見舞われれば直ちに輸入はストップし、兵糧攻めで一巻の終わり。***1993年に日本は戦後最大ともいわれる凶作に陥り、国内のお米が不足しタイ米を緊急輸入しました。2010年ロシアは旱魃に見舞われ小麦の輸出を制限しています。自然災害のほかにも有事の際は突然輸出封鎖される可能性も秘めています***種を買えなければ、これまた兵糧攻めで一巻の終わり。危険極まりない選択だといわざるを得ません。自国の食料さえまかなえない国は独立国家としてありない(フランス元大統領ドゴール)のです。「食を制する者は世界を制する」アメリカ国防大学がまとめた報告書は、アメリカが世界唯一の超大国として君臨し続けるためには、軍事戦略と食料生産を一体化させるのがアメリカの発想なのです。これがSilent War 音なき戦争です。アメリカは世界中で戦争をし続けなければ、国家として存続できない状況を自らの手で作ってしまったのです。近い将来日本も、そのようなアメリカの影響をもろに受けて、日本人自らの手で美しい国日本を、破壊しようとしているのです。

4  米は日本国の象徴であり魂であり、日本人の誇りです。

豊葦原瑞穂の国、日本人は稲を神饌として、荘厳な儀式を育んできました。天皇陛下は、戦中も戦後も国民の健康と世界平和を願っておられ、ご承知のように、皇居内の水田では自ら田植えを行い、稲刈りをして新嘗祭ではその米を神にお供えしているのです。聖徳太子の和を尊ぶ教えは、共同で稲作を行う習慣から生まれたのです。日本の過去の歴史を振り返れば、飢餓の歴史のほうが長く、自分で丹精した米でさえ、家族が食べられなかった時代もありました。 田植えに培われた灌漑の技術は、日本の一級文化遺産です。台湾においても日本の灌漑・米の改良技術は高く評価されています。八田與一氏・磯永吉氏は台湾の「嘉南平野15万haを穀倉地帯に変えた恩人」「蓬莱米の父」として台湾の歴史教科書にも載っている立派な方です。ウサギ追いしかの山、小鮒釣りしかの川・・・日本人の心のふるさと、千枚田に黄金色の稲穂がたわわに実り頭を垂れる風景を無くしてはいけません。

一般庶民もどうにか白米を食べられるようになった江戸後期、脚気が大流行し、大名までもが命を落としました。歴史を学ぶことは、将来を学ぶことであり、過ちをくりかえしてはなりません。わざわざお金と時間を費やして精米し、本来獲得できる栄養素を剥ぎ取って、副食で補うといった考え方は無駄です。玄米で世界を変えよう。玄米で日本を変えよう。夢は壮大なほうがいいに決まっていますが、大きな変革には大反対がつきもので、やればやるほど玄米の悪口も耳に入って、普及が遅遅として進まない現状にもどかしさを感じます。知らないことは決して恥ずかしいことではありませんが、本当のことを知ろうとしない人は罪です。食べ物が身体を造るのですから、食が間違えば身体もおかしくなって当たり前です。病気になってから、アメリカが悪い、日本が悪い、TPPのせいだ、その時泣き叫んでも後の祭り。薬が買えなければ、命は途絶えます。

食養指導士として私が今大切な人に一番伝えたいこと。それは、「NPO日本綜合医学会で学んだ玄米のすばらしさを伝え、玄米食を実践してより健康になることを実感してほしいと願っています。その為に、まず、自分自身が玄米菜食を実行し健康であることこそが今、一番の社会貢献であると思います。

参考書籍 サルでもわかるTPP   安田美絵著    合同出版

異常な契約TPPを剥ぐ ジェーン・ケルシー  農林中金綜合研究所

TPP秘密交渉の正体    山田正彦    竹書房新書

恐るべきTPPの正体    浜田和幸    角川マーティング

「健康食」のウソ      幕内秀夫    PHP文庫

アメリカの小麦戦略    鈴木猛夫         藤原書店

参考映像

NHKアーカイブス  食卓のかげの星条旗

モンサントの不思議なたべもの