障害者雇用三方よし

民間企業、国、地方公共団体は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、それぞれ一定割合(法定雇用率)に相当する数以上の身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用しなければならないとされています。法定雇用率は、国、地方公共団体、一定の特殊法人は2.5%、都道府県等の教育委員会は2.4%、民間企業は2.2%とされています。法定雇用率未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。なお、障害者雇用納付金の徴収は、常用雇用労働者数を101人以上雇用する事業主が対象とされています。

この法律の主旨は、障害者を企業に就職させることが目的ですが、実際に達成せずに納付金ですませている企業も多いことも確かです。工事現場や救急対応を要する職場は、雇おうと思っても、正直なところ足手まといや教育時間がとれないという、問題が生じています。また、月額5万円であれば、その方がいいと消極的な経営者も多いのが事実です。

ところで、今企業は身障者の法定雇用率を確保するために、身障者を直接雇用するけれども、勤務場所や雇用形態を、農業法人に預けるという方式が生まれています。身障者は、気軽に普段着で通勤できしかも楽しみながら農業体験ができるのです。このような施設が日本でもできています。農業作業所は、専任の農業指導員が配置されており、その日の個人の体調の具合、能力を見極めて作業を見守ります。作業は、普通の畑仕事と全く同じでしゃがんだ姿勢の草取りも行います。来初めのころは、特に炎天下や寒い時期は作業は滞りがちのようですが、やさいの収穫をまのあたりにすると、自分たちが育て上げた野菜にいとうしさを感じ、だんだんとみんな野菜づくりに情熱を燃やし意欲をもって取り組むようになるそうです。決して、無理強いはしない、それぞれが自分の脳力、体力に応じた仕事をすればよいのです。

生産物は、一部販売のほか、学校や施設に配布されよろこばれています。食育は押しつけではなく、命の大切さを自分の目で見て、自分の手で育てる、そうすることによって食べ物に感謝するほんとの心が生まれるのではないでしょうか?

企業よし、本人よし、農業作業所よし。三方よしの事業が増えて行けば、日本の社会はもっと明るくなる。

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