食糧自給率
日本の食料を考える2013
シリーズ第1回 「食料自給率」
「瑞穂の国」の日本人がごはんを食べなくなり、食料自給率(カロリーベース)は39%(2012年)まで落ち込んでいます。さらにTPPに加入すれば13%にまで下がるという試算(農水省)も出ています。 異常気象や人口増加などで世界的な食料不足が深刻な問題となっている中、このまま食料を海外に依存していてよいのでしょうか。食料自給率が何を意味するのか、少し考えてみましょう。
食料自給率39%は最低水準
日本の食料自給率は2009年で40%、2012年には39%と主要先進国の中でも最低の水準です。1960年には79%あった自給率が、半世紀ほどの間で半減してしまい ました。
この原因としてあげられるのが、米の消費が減り、肉類や油脂をたくさん使う料理を食べるようになった「食の欧米化」です。さらに「外食」が増えたことなど、日本人の食生活の変化が自給率に大きく影響しています。
とくに肉類や牛乳・卵など畜産物は飼料のほとんどを輸入に頼っているため、国産でも自給率は極端に低くなってしまいます。
ちなみに今日のごはんは何を食べましたか?かつ丼の食料自給率は46%、ラーメンは10%、スパゲティ(ナポリタン)13%、豚しょうが焼きは11%という自給率です。国産でまかなえるごはんが入ると自給率はグッとUPしますね。
※朝ごはんの食料自給率はこちらからどうぞ
近い将来、食料争奪戦が始まる?!
みんなで食料自給率をアップさせよう!といわれても ピンときませんよね。今の私たちの豊かな食生活は半分以上を外国に依存して、日本は世界最大の農産物輸入国となっています。
しかも、大豆、トウモロコシ、豚肉などの主要品目についてはアメリカ、カナダ、ブラジルなど特定の国に大きく依存しており、異常気象による凶作や輸出禁止措置 などがあると、日本の食料需給はすぐに大きな影響を受けてしまうリスクがあります。
また、世界の人口は71 億人を突破し(2013年8月現在)、 2050年には96億人(国連推計)と予測されています。世界の食料生産量が伸び悩む中、約8億7千万人が慢性的な栄養不足に苦しんでいます。
さらに、中国やインドなどでは食生活が変化し、日本と同じく畜産物や油脂類の消費が増え、穀物類の輸入が増大しているため、世界の食料市場はとても不安定です。
地球温暖化や世界的な異常気象、原油価格の高騰、水不足、家畜伝染病、輸出国の輸出制限などなど、食料の輸入は突然止まってしまう恐れがあります。
もし、食料不足に陥った場合は自国への供給を優先し、輸出規制するのが当たり前。地球規模で食料難になれば、 いつ食料の争奪戦が始まってもおかしくありません。
一人一人の心がけで自給率をアップ
食料不足は深刻な問題です。不測の事態に対して、食料 自給率が39%しかないというのは国としてとてもキケンな状態です。米や麦、牛肉や豚肉、乳製品や地域の重要な産業を支えている甘味資源作物(サトウキビ、テンサイなど) など、今まで以上輸入に依存してよいものでしょうか。
国は2020年までに50%まで引き上げようという目標を 掲げています。だから私たちができることは、自分たちが食べるものは自分たちの国で作り「食料自給率をアップさせること」です。
国産のもの、旬のものを食べることを心がけること。 私たち一人一人の行動が、食料自給率をアップさせる力になります。
身近で食べものが得られることの大切さを今一度考え、日本の豊かな農地と自然環境を次世代に引き継ぐためにも、農業をもっと大切に、食べもののこと、もっと真剣 に考えてみましょう!
国で食料を増産することは、日本のためにも、将来の地球のためにも必要なことなのです。
私たち全農は、日本の「食」を支えるのが使命と考え、食料自給率アップに努めます。