対面販売

お豆腐はどこで売っていますか?先生が子供に質問。お豆腐やさん、でももう東京にはほとんど見かけなくなったと感じます。本当の答えは、コンビニやスーパーかも知れません。
昭和の30年代、朝のラッパの音で目覚めた。ナット―ナットナットー。黒い多くな自転車に木箱を乗せて納豆を売りに来る、お豆腐やさんラッパ、それぞれに吹き方が違っていて、プーープー。音が聞こえるとアルマイトのお鍋をもって駆けつける。木箱から手でお豆腐を取り出し崩れないように、鍋に入れてくれる。4年生になったんか?今日は雨が降るよ、気おつけな。お豆腐屋さんがいろんなことを教えてくれた。家族構成や成績、父親が国鉄マンだったこと。おじさんは何でも知っていた。おじさんには、個人情報を随分提供してしまった。ほんの2,3分だけどなんでも話せた。2週間くらいお豆腐を買わないと、病気になるぞといって脅かされもした。お豆腐が2丁の時は、両手で鍋を持たないと不安定なので歩くのがやっと。ちゃっぽんちゃっぽんある日路地に入る手前で転んで、ばらまいてしまった。僕が泣きべそをかいていると、それを見ていたお豆腐屋さんが戻ってきて、しょうがねいなとつぶやきながら、だまって鍋に入れてくれた。さらに長ぐつでぐちゃぐちゃになった豆腐を雑草の中へ蹴りこんだ。根ショウガいるかい。お金がないよ。しょうがねえなあ。お駄賃だといって喜ばせてくれた。高校生になって、そのお豆腐やさんを知って、訪ねたが2年前に亡くなったことを知った。僕のお豆腐屋さんはいつまでも心にある。ありがとう。感謝しなければ、いけない紙芝居屋のおじちゃん、納豆うりのねじり鉢巻きのお姉さん。ロバのパン屋さん、金魚売りや風鈴売り、リヤカーで鯨のベーコンや
鯨カツも売っていた。

今、またスーパーの中でも対面商売が見直されている。昔はスイカを買うときに、八百屋さんが3つ4つ指ではじいて音を聞いてこれがいい取って買ったものだ、よく考えれば、スイカをみんな売ってしまったら音の悪いスイカも売ったに違いない。そこは、八百屋も常連さんとか病気のお見舞いとかいろいろ聞きながら、値段もいろいろ。最近スーパーでは、糖度表示がされている、熊本産糖度13、千葉八街産糖度9。安心して買えるかもしれないが味気ない。
コンビニがいっぱいできて、24時間開いている。でも最近はオーナーの過重労働やアルバイト店員不足、盗難、防犯設備の先行投資、少子高齢化、正味時間内の販売厳守、いろいろな問題がでてきて
閉めるお店や24時間を取りやめる店まである。
最近、アメリカでは携帯からピザを頼むと、ドローンが玄関口まで届けて携帯に知らせるそう。誰がいつどこで作ったのか?一切会話はいらない。その子たちが大人になったら、どんな話がきけるのだろうか?