砂糖はいらない

  連載
砂糖は心身を蝕む危険な食材、脳のエネルギーの嘘 動脈硬化、免疫力低下、うつ病
文=豊田美里/管理栄養士、フードコーディネーター
【この記事のキーワード】うつ病, 糖尿病, 脳梗塞, 砂糖

 

 

「Thinkstock」より

 

「砂糖の取りすぎは体にさまざまな悪影響を与える」と、よく耳にするが、「脳の活動のためには欠かせない」ともいわれ、リフレッシュしたい時に甘いものを食べるなど、ほどほどに摂取するよう心がけている人は多いだろう。
 ところが、実は砂糖は取らないに越したことはないのだ。なぜなら、脳に必要なブドウ糖は、米や芋などの炭水化物から体内でつくりだすことができるからだ。糖分を摂取する必要性はないのだ。また、砂糖はタバコ以上に依存性が強いともいわれ、一度甘党になると砂糖のない生活を送ることは極めて難しくなる。糖質依存症になる前に、生活の中から少しずつ砂糖を減らす意識を持つべきだ。

 

「砂糖は脳のエネルギー」などとテレビCMを流すことで、さも体に必須の栄養素のように主張している砂糖業界の思惑に乗ってはいけない。さらに言えば、「百害あって一利なし」だ。

 

 菓子や清涼飲料水などに含まれる砂糖を取り続けることで、糖尿病になるリスクをはじめ、近年は低血糖症のリスクも指摘されている。それは、多量の砂糖を摂取すると急激に血糖値が上がり、体内ではインスリンが大量に放出される。その結果、一気に血糖値が下がり、体は一時的に“ガス欠”状態になる。血糖値が下がった状態では、脳が正常に働かず、集中力がなくなるばかりか、無気力になり、体を動かすのも億劫になってくる。

 

 このような低血糖状態が続くと、脳はアドレナリンというホルモンの分泌を促し、体内の糖分を血液中に放出して血糖値を再び上げようとする。しかし、このアドレナリンは「攻撃ホルモン」「脳内麻薬」とも呼ばれ、気分が高揚し、攻撃的になりやすいという特徴がある。近年、子どもたちがキレやすくなった原因のひとつとして低血糖症を挙げる医師や学者も少なくない。

 

●心身を蝕む食材、砂糖
 実は、砂糖の害はこれだけではない。偏頭痛やアレルギー、動脈硬化、高脂血症、高血圧症などの病気を引き起こすこともわかっている。女性であれば冷え性をはじめ月経不順や子宮筋腫などの婦人病の原因ともなり得る。また、免疫力が低下することも明らかになっており、あらゆる病気にかかりやすくなるといえる。