介護雑感76

その人は、千葉では知れたおかまであるそうな。年をとれば誰でも肌はあれ、惚けにもなる。まだ60代だと思うけれど個人情報でわからない。私の見立てでは、お金もち。今も女性の下着をつけてしっかりお化粧をすませてやってくる。週に2回のサービスだからほとんど会わないけれど、話の種はつきないくらい豊富に耳に入ってくる。下着はいつもシルク、長めのスカートにピンク色のカーディガン。施設では、みんなヒマだから面白い話に飢えている。内緒よと言いながら、台風なみにいつもまにか尾ひれがついてくる。だまされた。入院した。人の不幸は密の味がすると言うが、老人施設の生きがいってそんなものなのかも知れない。

見てしまった。この人は認知症がますますひどくなっているというのにお化粧や服装はいたって普通。トイレ依存症で1時間に何回も何回もトイレに行く、行って入るとなかなか出てこない。中でなにかもごもごいっている。それなのに、ああそれなにに紙パンツで1日に3回もおもらしでパットはびっしょり。食事をしたばかりだというのに、食べていない。言い聞かせるとドンドンエスカレートしてきて責任者はどなかかしら、呼んでいただけませんか?とすぐに言う。まるで、こちらがいじめられているような感じで、対応の仕方がわからなくなってくるそうな?学校でもおかまの介護は教えない。後は、現場まかせ。

ついにその時がやってきてしまった。今日は、急に朝勤の人がお休みだから30分お願い。引き受けましたとは言ってないけれど、私しかいない。ドキドキ。車椅子での介護が。私も開き直って、こんにちわと笑顔を繕って近づいた。さっそく出た。責任者は、どなかかしら、呼んでいただけませんか?すみません。この時間は私しかおりませんので少々お待ちいただけませんか?彼女いや男性は私を無視、でも、そのうちに我慢が出来なくなって、あんたトイレに連れてってと・・覚悟は、決めたし正直どんな下着なのか○○心もあってトイレに。マヒはないと聞いていたので、トイレを出ようとしたら、また叱られた。介護の人でしょ。パンツを下ろし便座に座らせて、いやに丁寧な言葉にまたドキドキ。下着をその部分を見ずに下ろすことはとっても難しい。見ちゃだめよ。それからいつも聞いていたように5分立ち、10分たち、やがて15分。やっと終わった。やれやれ。。。。その5分後、すみません。トイレがしたいの?責任社はどなたかしら、呼んでいただけません?

おもわず、このやろうと一発張り倒してやりたい気持ちが走った。私は、介護に向いていない。終わってどっと疲れが出た。夜勤プラス残業30分、シャワーを浴びて目が覚めたらもう午後の3時を回っていた。人は、どうしてあんなに壊れてしまうのだろう?

 

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