とんでも介護食

ヘルパーの大切な仕事に、利用者の食事の支度、食べさせる方法があるにも関わらず、初任者研修の科目には栄養学は1時間も入っていない。食事の栄養素が不足するために、体力がだんだんと弱り、筋肉もおとろえやがて寝たきりになってしまう。食べる食欲は三大欲で性欲、物欲であり、食べることが苦しみになっては幸福とはいえない。なくなるその日に何が食べたいのか?そんなわくわく感をいつまでも持ち続けていたい。とんでも、介護食。実際の話で驚いてしまう。

1.1人暮しの78歳の男性。週2回お邪魔している利用者さん。行ってみるとテーブルの上にメが
「今日は、亡き妻の誕生日なので、生前大好きだった毛ガニを買ってきて、仏壇に。生きた毛ガ
ニは○○デパートの地下の鮮魚コーナーに売っている。」掃除・洗濯を済ませて買い物へ。
約束通リ毛ガニを買って帰り、仏壇にお供え。丁度時間になったので意気揚々とご帰還。それ
からほどなくステーションに利用者から電話。なんとカニが仏壇から落ちて大騒ぎ。利用者さ
んが望んでいるのは、毛ガニ料理を妻と二人で食べたいとのことであった。しごく当然の話だ
が、ヘルパーの若い子は料理の仕方がまるっきりわからない。責任者が平謝りで、カニは腐敗
してなんともかわいそうな誕生日になってしまった。魚のさばき方がわからない、魚の名前が
わからない。

2. お米を洗って炊飯器に入れて下さい。はい。女性は洗剤を入れてごしごし洗い、水を何回も変えた

3.今日は、食欲がないからお粥にしてちょうだい。はい、わかりました。ミキサーにかけたのはごは
ん・味噌汁・魚の煮つけ・香の物。みんな混ぜたらどんな味になる?

4.今日は、何キロカロリー制限ですから、ジュースとカロリーメイト2本、なるほどカロリー計算は
間違いない。

かの食通、北大路魯山人は、物をたべるのはくちのように思われているが、実は肉体の全部で、心も
そのなかの一員で、常に喜びを理想としていると述べている。この心さえ楽しんでくれればほかに
少々のまちがいがあっても、打ち消されてしまうようである。