介護雑感27

中秋の名月
 
施設は団地の一角にあり、商店街の真ん中でもある。 そのため窓 は ない。 空は見えないし、太陽も見えない 雑草も蝉の鳴き声も感じない 。通勤している私は、このようなことには、全く気づいていなかった。
 
24時間、空調が効いているし、電気は昼夜とらずLED電球なので、時計がなければ、時間もわからない。ここに、いれば季節も曜日もわかならい。1年365日快適な環境であるし、安心、安全 は保たれている。管理監督をする施設側としては、やりやすい。
 
 
 私の担当は三つの建物に分かれている 。夜勤は巡回が 2時間に一度 どうしても空白の時間が生まれたり 、その都度全部の一室に鍵をかけるわけではないので、ある程度、夜でも徘徊はできるスペースはある。カメラ監視があるし、警報もなる。
 
 
 朝食の用意をしている時に、その人は消えた。 外に飛び出してしまった。私は、血の気が引いた思いで、警察?施設長に連絡?ああクビになる?四点歩行器を持っているので、遠出はできない。まさか。誰かが連れかえったのでは!交通事故!私にとっては、ながーい時間であったが、出口から10メートルの軒先にしゃがんで月をみていた。昨日は、仲秋の名月。お団子にすすきだねー。ウサギがいるんたよ。月がきれいだ。私は、大声で、叱りたかったが、彼女の穏やかな顔をみつけたとたん。安心で腰砕けになり何も言えなかった。ヒヤリハット報告をしなかった。でもね。次の日には、ばれた。勿論、上司より厳重注意である。なぜか、彼女が、昨日は「月が本当にきれいだった。」と、敵のヘルパーに言ったものだから、おお騒ぎ。騒ぎが多くなるほど、また、締め付けられる。
 
私は、みんな共同生活者なのだから、利用者にも、洗濯干し
や草取りをすれば、外の空気にふれるし、いいとおもうのだけど、
 
 

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