甲田光男
人類が21世紀に生き残れる道はまず少食を守ること
甲田医院 甲田光雄
はじめに
大気中の炭酸ガスが増加することによる地球気温の上昇、フロンガスの増加によるオゾンホールの拡大、自動車や大工場からの排気ガスによる酸性雨の問題をはじめ熱帯雨林の激減、砂漠の拡大、人口爆発それに環境ホルモン等々の諸問題が山積みして、その対策に追いつかず行き詰ってしまったというのが21世紀を迎える人類の現状であります.
このままの状態で環境問題などが進行すれば近い将来に人類はもちろんこの地球上に生存する他の生物も滅亡するであろうと警告がいまや世界の各地から発せられています。
このままでは人類は到底21世紀に生き残ることはできない早く何とか今のうちに手を打たなければとの声がほとんど毎日のように新聞やテレビなどのマスコミにも出ており既に周知の周知の認めるところであります。
しかしそれではどうすれば良いのか、どうすれば人類が21世紀にも生き残れるかという問題に対する明確な具体策がまだ出されてはおりません。
地球に優しい生活とかリサイクル生活あるいは省エネ生活などなどの抽象的なまだ夢の段階と思われるような方法が提案され理論対象になっているに過ぎないのです。
これはつまり政治家を始め学者、起業家たちに人類の将来を見通す確実とした政策が見つからずまた暗中模索の状態であることを示す証拠でもあります。
そこで筆者は長年の断食情報、生菜食及び玄米少食療法の経験から少食による人類生き残りのこり理論を提唱したいと考えているわけです。
2.少食の採用により人類が21世紀にも生き残れます。
以下に少食の効用を説明しながら人類の生き残り論を展開していくことに致します。
食は健康の原点
①少食断食で「万病の元」宿便を排出される筆者は長年の断食療法・玄米少食療法の研究から「宿便」こそが万病の元であることを確信するようになりました。
この宿便を完全に排泄することなしに病気を治し健康増進を図るということは到底不可能であると考えているわけです。
世間では、しかし、この宿便の存在について専門家も含めてまだ賛否両論でいろんな俗説がありテレビなどでもよく話題になっております。
従って宿便とはなんぞやという定義もまだないわけです。そこで筆者の私見として宿便の定義を作っておくことにしました。
つまり宿便の定義「胃腸の処理能力を超えて負担をかけ続けた場合に腸内内に渋滞する排泄内容物を総称して宿便という。
異常が宿便の定義であります。
それゆえに宿便が渋滞する条件としては次のようなものがあります。
胃腸の処理能力以上に食べた場合。
食べ過ぎはしていないが胃腸の処理能力が衰えるような条件が重なった場合で
睡眠不足、心配事、運動不足、飲水量の不足、食物繊維の不足、厚着などなど
これらの諸条件の中で宿題のための最大の原因はやはり食べ過ぎであります。
従って過食・飽食の悪癖を改めない限りはどうしても宿便の渋滞がしてくるわけです。
その結果として頭痛にふらつき全身県肩こり立ちくらみ冷えの冷えのぼせ不眠とてもの症状が現れ、やがては命取りになるような難病例えば各種のがん脳卒中心筋梗塞膠原病それに老人性痴呆症などに苦しめられることになるのか
昨今は、健康法のゲームで実に様々な健康法がが紹介され普及しております。たとえ、それがいかに素晴らしい健康法を実行し、一時的には元気になってもこの過食・飽食の悪癖が改まず病に倒れるということをよく知っておかなければなりません。
それでも世間には大食を続けながらも80歳90歳と元気に活動している老人も居られますのでその人たちを例にとって少食論者に反対する人もおられます。
確かに大食家でも元気なお年寄りもたまには見られますがそれはあくまでも例外であることも認識し法則そのものを否定する暴言は慎まなければなりません。
大食を続けていても元気に80歳90歳と活動できる人はまずそのような素晴らしい体質を頂いたご先祖の徳に感謝するとともにやはり過食をできるだけ慎む食生活に入るべきであります。
そうすればよりその健康長寿園を天より与えられることになるでしょう。
一方現代医学の治療法を長年受けても直らず前途を悲観しておられた難治性疾患(慢性関節リウマチ全身性エリテマトーデス、重症筋無力症気管支喘息アトピー性皮膚炎)などの患者さんでも少食療法や断食療法などで宿便が排出されると劇的に症状が好転し元気になっておられるというが例が続々と出てきているのです。これからの臨床例から宿便を完全に排泄することが保健治病の鍵ではないかと主張したいわけです。
この少食も現代医学の常識では到底不可能と思われるような少ない食事でありますが、それでも栄養不良に陥ることなく元気に生活できる姿に接していると現代栄養学に対する不信感を抱くよりいなってくるのではありませんか。
難病の治らない大きな原因は現代栄養学の常識にとらわれ必要以上に食事を与えているからだと言えないでしょうか。
思い切った少食に踏み切れば案外簡単に治るものを必要以上に食事を与えて治るべき病気を難病にしてしまっているというのが現代医学の大きな誤りであると言わざるを得ません。
少食によって「万病のもと」腸の変形が正常に戻る断食療法を行ったり、酵素やオリゴ糖あるいは乳酸菌製剤などを使って腸管内に渋滞している宿便を一掃するとそれまで出ていた色々な症状も激減し見違えるように症状が好転するのではないでしょうか。
その後の少食が守られないような場合はやはりまた病状が悪化してくるもんです。
それは宿便が排出されても長年の間にできた腸の変形そのものがそう簡単には元の正常な形に戻らないからであります。
私達が、過食の悪癖を続けているうちに腸管は処理しきれない過剰の食内容を収容するため長く伸びたり、横に膨らんだりしております。
長く伸びた腸が垂れ下がり、安定が悪いもんですからあちこちと癒着が起こり、その癒着したところで腸が屈曲し捻じれが起こり、狭窄が生じ一層腸内容の通過が悪くなってきています。
ここががまた、宿題の渋滞する格好の場所となるんです。
従って宿便を一掃する事も大変結構なことですか、根本的には長年の過食によって生じた腸の変形と元の正常な形に戻すことが肝要なのであります。
この最も大切なことが解らないため全く見当違いの治療方法が行われ、治る病気も治らないという症例がいかに多いことでしょうか、従って少食の習慣を作り作り上げることがいかに大切な治療法であるかを改めて認識して欲しいのであります。
老廃物は飢えた時に出る現代栄養学の大きな盲点として、老廃物を完全に排出するにはどうすればよいのかとう研究があまりにもお粗末であることです。
有名な西式健康法の創始者西勝造先生は中庸の道を説きながらも体内の老廃物(宿便を含めて)をいかにすれば完全に排泄することができるかという、出すことの研究に心血を注がれたわけです。
その結論として、飢えた時に老廃物の排泄機能が高まるということです。
午前中の断食つまり朝食抜きの1日2食主義を提唱されたのもそのためでした。
現代栄養学のように入れることに重点を置いて研究が進められ、出す方にはあまり関心が払われないので到底完全な保険持病の実が上がらないのでしょう。
少食になって毎日充分に飢える食生活ことが新しい保険治病法であり、また健やかに老いる道があると確信しているわけです。
少食の実際
そこで少食の実際について説明する場になりますが、これは紙数の関係で省略いたします。
要するに腹七分の少食を全国民いや全世界の人々が実行に移されることを提案する次第です。
さらにその上は月2回ぐらいの1日断食を実行されるようお勧めしたいのであります。
この腹七分の少食主義と1日断食を全世界の人達が実行されるならば病人は激減し医療費も大幅に節減できるものと信じて疑いません。
しかし、食事量が少なくなればそれだけ質の方も考慮する必要があります。
白米ではない玄米、食パンよりも黒パン、また砂糖でも白でなく黒砂糖を選ぶべきです。魚類でもまぐろやブリなどの大きな魚よりもちりめんじゃこやメザシなど頭も尻尾も全部食べられるような全体食をすることです。
野菜料理でも化学肥料や農薬などを使わない有機農法で育てたものを食べるようにしてください。
その問題については本会副会長の中島保先生にご指導お願いしたいところです。
少食は人類の食料不足を克服する鍵でもあります。
以上、少食は私達にとって健康の原点であることを説明していきましたが、少食は実は人類にとって将来の食糧不足を克服する鍵を持っていることを強調しておきたいのです。
日本でも国民の皆さんが皆腹7分の少食を守られるようならば、食料の輸入を一切しなくても充分にやっていけるという計算が出来ているわけです。
詳細な説明は紙面の都合で省略し、講演の中でさせていただきますが、人類が今後50年の間に例え100億に増えても腹七分と1日断食の食生活を守っている限り飢餓に陥る心配はないと確信しておる次第です。
問題はいかにして人類が腹7分の食生活を守り続けるかにある云えましょうか。少食は環境問題の解決にも1役を果たす。なお少食によって今人類にとって大きな課題になっている環境問題解決も少なからず役割が果たされることを申し上げておきたいと思います。
例えば、アメリカで最近肉食還元キャンペーンが有志達によって強力に勧められています。
もし世界の人々が肉食半減キャンペーンに協力されるならばいま問題になっている地球上の炭酸ガスも増加を食い止める有力な道を開くことになると言われているのです。
この肉食半減をさらに一歩進めて3分の1に減らすことを筆者は提案したいのであります。
そうすればより一層の環境浄化にももたらされるに違いありません。
それに朝食の実現は省エネ効果としても1役を果たすことになり本当に地球に優しい食生活があると言えるでしょう。
以上、少食の効用を簡単に説明しましたが、動植物の命をなるべく殺生しないという愛と慈悲の少食こそ朝食が21世紀にも人類が生き残る秘訣があることを考えるのであります