果糖ブドウ糖糖液
清涼飲料の危険性のひとつに甘さの問題がある。糖が多いものは当然甘い。しかし、糖質ゼロを売り物にしているものも甘い。多いのも問題、少ないのも問題なのである。今回は、糖の多いものを見ていく。例えばスポーツ飲料の「ポカリスエット」の表示を見ていくと「砂糖、果糖ぶどう糖液糖、果汁、食塩、酸味料、香料など」と並んでいる。含有量の多い順番に並んでいるため、砂糖に果糖ぶどう糖液糖と糖が多いのが目立つ。この飲み物500mlに含まれる糖は約31gで、3g のスティック・シュガーが10本も使われていることになる。とてつもなく多い量の糖を摂取することになり、ペットボトル症候群と呼ばれる急性糖尿病に陥る危険性があり、更にずっと飲み続けると、本格的な糖尿病になる可能性がある。
特に問題なのが異性化糖で、果糖ぶどう糖液糖などの形で表示される。異性化糖は、砂糖に比べて肥満や糖尿病になりやすいことが各種調査で明らかになっている。というのは、ブドウ糖と果糖が分かれて存在し、しかも液糖の形で用いるからで、すぐに吸収され急激な血糖値の上昇をもたらし、インシュリンの分泌にも影響を及ぼし、糖尿病の引き金になる。また果糖は、摂取しても人間の脳はこれ以上必要ないという指令を出さないため、どんどん摂取してしまい、余分なものは脂肪になってたまり、肥満の原因になり、成人病を引き起こす可能性がある。
■ポカリスエットのラベル
原材料:砂糖、果糖ぶどう糖液糖、果汁、食塩、酸味料、香料、塩化K、乳酸Ca、調味料(アミノ酸)、塩化Mg、酸化防止剤(ビタミンC)
異性化糖は、清涼飲料だけでなく、菓子、調味料、酒類などさまざまな食品に用いられている。その理由は、砂糖に比べて3割近く安いからで、その原料は大半がコーンスターチである。その原料のトウモロコシは、ほぼ100%米国から輸入され、その約9割が遺伝子組み換えで、モンサント社の種子である。もしTPPによって国産の砂糖の保護政策が打ち切られると、私たちの食卓から国産の砂糖が奪われるだけでなく、米国のトウモロコシによって、日本の食卓の「甘味」が独占されることを意味する。
(天笠啓祐)
・「異性化糖」って何?
甘いものと言えば砂糖です。
砂糖は、原料である「さとうきび」「てんさい」を抽出・精製したものです。
一方、異性化糖の原料は「でんぷん」です。
小学校のとき、でんぷんにヨウ素液を垂らすと紫色になる実験しましたよね。アレです。
・なぜ「異性化糖」が生まれたの?
昔むかし、戦争に敗れた日本は、たいへんな食料難でした。
そこで、国は、対策として、お腹がいっぱいになりやすい、イモ類の生産を奨励しました。
しかし、食料難が一段落すると、イモ類が余って、甘味を求めて海外から砂糖を輸入するようになりました。
しかーし、外貨の乏しい当時は砂糖をたくさん輸入できずに困ってしまいます。
そこで、余ってるイモの「でんぷん」から甘味源であるブドウ糖を製造することを考えました!!先人の方たち、素晴らしいです!!そしてさらに、ぶどう糖から果糖(ぶどう糖より甘い)へ変換する研究も進み始めたのでした。
・「異性化」に必要な3つの酵素
「でんぷん」から「異性化糖」を作るには、
1.液化
2.糖化
3.異性化
の3つのプロセスが必要です。
1.液化
液化で活躍するのが「α-アミラーゼ」という酵素くんです!!
「α-アミラーゼ」の働きにより、「でんぷん」をある程度小さく分解します!
2.糖化
糖化で活躍するのが「グルコアミラーゼ」という酵素くんです!!
「グルコアミラーゼ」の働きにより、「そこそこ分解したでんぷん(多糖)」を「グルコース(単糖)」まで分解します!
3.異性化
異性化で活躍するのが「グルコースイソメラーゼ」という酵素くんです!!
「グルコースイソメラーゼ」の働きにより、「グルコース(ぶどう糖)」の約半分を「フルクトース(果糖)」へ変換します!
・「ぶどう糖果糖液糖」と「果糖ぶどう糖液糖」の違い
ぶどう糖のが多い⇒「 ぶどう糖果糖液糖」
果糖のが多い⇒「果糖ぶどう糖液糖」
です!!
一般的に、異性化では、ぶどう糖→果糖への変換が半分くらいしかできないので、ぶどう糖が多く残ってしまいます。
ぶどう糖は砂糖の甘味の70%しかありません。
果糖は、砂糖の甘味の1.3倍ほどです。
(参照: )
ぶどう糖と果糖で、ぶどう糖のほうが多いと、砂糖より甘くないものになってしまいます。
そこで、「砂糖より甘いものが欲しいよー」
という要望に応えるべく、さらに
4.精製・濃縮
という工程をふむと、果糖だけ分離することができ、果糖を多めに配合することにより、砂糖より甘いものができあがります。これが、「果糖ぶどう糖液糖」です。
ちなみに、
「ぶどう糖果糖液糖」・・・果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50% 未満のもの。
「果糖ぶどう糖液糖」・・・果糖含有率が 50% 以上 90% 未満のもの。
「高果糖液糖」・・・果糖含有率が 90% 以上のもの。
「砂糖混合異性化液糖」・・・上記の液糖に 10% 以上の砂糖を加えたもの(その液糖がぶどう糖果糖液糖なら砂糖混合ぶどう糖果糖液糖)
という分類があります。