豆まき

鬼はそーと」昔、おやじが升いっぱいの大豆を、部屋中にばらまいて、拾うのが大変だった。自分も子供が生まれて、規模はだいぶ小さいがおやじを思い出しながら、鬼はそーとの習慣を引きついでいる。小学3年と4年の息子の足元に、掃除のことも考えて優しく愛情をもってまいたつもりが、いつのまにか2人の鬼の標的になって、本格的な戦いが始まった。家には3人の鬼がいや4人かも知れない。5袋も買うんじゃなかった。後のまつり
まず、フライパンで炒った大豆を朝の内に用意して、まず神棚にあげてご先祖様に感謝をし、夕刻になって豆をまく。玄関には柊に束にめざしをさして一礼。夕刻鬼が出そうな気配をかんじたら、まず家の中にいる鬼や邪気を豆をまいて追い払う。そのあとで、福をいれる。そして福が逃げないうちに玄関の戸を閉じる。鬼は外は外に向かって、福は内は、部屋に向かってまかないと行き先を迷う。旧家には玄関の右手におおきな柊の木があって、左手には福を呼ぶというイチジクの木が植わっていた。(柊はギザギザの葉っぱで鬼退治。めざしはあぶって鬼が嫌がる煙りで追い出す)大きめの枝を切って、めざしを刺す。イチジクの甘い香りに福が引き寄せられてやってくるそうな。
最近は、豆まきに加えてなぜか恵方巻なる海苔巻きも食べる習慣になった。長男はわざわざ。磁石で今年の方位を確認して、大きな口をあけて食べる。恵方巻の習慣はコンビニの販売戦略なのか?これで、1年我が家は無病息災。

それにしても、最近は後かたずけが大変なので、10粒くらいずつビニールの袋につめてテーブルに置く(床はきたない)ことで終わりの家庭も多いようだ。隣近所に聞こえるくらい大きな声で、大きな態度で堂々とやらないと、図々しい鬼に笑われてしまう?何もやらないよりもいいかもしれないがこれでは、ずうずうしい鬼は逃げださない。

千葉県成田山新勝寺では、毎年歌舞伎役者、大相撲の横綱、お相撲さん、テレビドラマで活躍中の俳優タレントたちが、節分の為に作られた特設のやぐらの上から豆をまく姿が毎年テレビに映るのか恒例にになっている。成田屋の屋号が示すように歌舞伎と成田山の付き合いは長い。新勝寺は、真言宗智山派の大本山であり、お堂は毎日平和祈願をしているため、中には全く鬼はいない。成田さんでは、鬼はいないのだから鬼はそーとはいらない。「福は内、ふくわーうち」こうして、成田さんは福ばかり毎年増えていく。(三橋 敏次)

慈眼寺では、全国の鬼が集まってくる。その鬼を境内に招入れて改心してもらうためにお経を唱える。

慈眼寺では鬼は内、福は内といって決して鬼を追い出さない。仲良くなって平和を祈る。この世に生まれて必要のない人などだれ一人もいない。

節分は四季の変わり目で年4回、立春、立夏、立秋、立冬があり、時に北国にとっては、雪解けの春は待ち遠しい。豆には昔から霊力があると考えられて、穀霊信仰がその背景にあり、人々に危害を及ぼす危険や災いを豆の霊力をかりて追い払う行事である、古く、室町時代までさかのぼる、江戸時代に入って一般庶民に広がり、盛んにおこなわれるようになった。

伝統行事が段々と忘れられようとしている。毎日のように子供への虐待、殺人ニュースが流れている。子供たちにとって家は一番安心で安らぐところ、そこに鬼が住んでいて虐待や殺人があるのかもしれない。(三橋 敏次)