精進料理

精進するというのは、大変申し訳なく、どれだけお詫びしても足りません。今後はこのようなことのないよう、精進して参ります。というように使われます。体は正直ですから、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲めば、太るのは当たり前です。太り過ぎた体は、内臓に過重労働を負わせ、病気の原因ともなります。さて、この時期自分の体に向かって、心からお詫びし精進しませんか?

そこで、登場するが精進料理。お坊さんの食として、普段家庭ではなじみがうすいと思いますが、殺生を断ち動物を殺さない食べないことが特徴ともいえます。有名なお寺の管主様は、総じて長生きの記録があります。それは、食べものだけではなく、少食、感謝、規則正しい早寝早起きの習慣から生まれるのだと思います。日野原氏は102歳でなくなりましたが、まさしく生活習慣の誤りによって引き起こされる病の総称を生活習慣病と、従来成人病と名前から変更しました。

野菜をどれだけとったかで、寿命は決まるというレポートもででいます。肉は全く何十年も食べないわけですら、肉が健康増進や筋肉増強の為には絶対必要というのは通じないと思います。肉を食べなくても、心配ないのです。よく、疲れたから今日は焼肉にしようとかという言葉の精神作用としては、それなりの効果はあろうかと思いますが、あまり関係はなさそうです。肉を食べるという事は、鶏、牛、豚を食べる(と殺)という目的を以って育てるのです。そして、それらの動物が肉になって出荷されるまでには、餌を与えなければいけませんから、病気になっては困りますから、遺伝子組み換えのトウモロコシや抗生物質を餌に混ぜ込んで食べさせるのです。ブロイラーは雄雌を区別され、2~3週間で若鳥として市場に出回ります、まるで工場の様相です。

精進料理と言えば、我々庶民には高級料理(値段が高い)というイメージがあると思いますが、スーパーで販売されている胡麻豆腐やがんもどき、野菜の煮つけ、ちゃんとした精進料理です。精進料理(しょうじんりょうり)とは、仏教の戒に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理です。精進料理では避けるべきと考えられている食材が大きく分けて2つあり、1つは動物性の食材、もう一つは五葷(ごくん)です。五葷とは、にら、にんにく、らっきょう、あさつき、ねぎのことを言います。これは、あまり知られていないのですが、精進料理の概念としてはとても大切なのです。

五葷を好むのは五戒で言うところの妄、殺、淫、盗、酒を好む霊体です。飲食街などでも、お酒やお肉、そしてニンニクやニラ、ネギなどを多く出すような店の付近には、この妄、殺、淫、盗、酒を好む霊体がたくさんあつまってくるようです。歓楽街という場所には、ラブホテルも存在しますが、その前にちょいと腹ごしらえ、ビールに餃子にニラレバ。これだけ食べれば準備OK。あるいは、バーでほろ酔い気分。これらを食べると、淫、妾が頭によぎって煩悩がほんとに刺激されるようです。また、酒席で上司の悪口や女子社員の悪口は常ですが、これも普段眠っている脳細胞が刺激されるのです。酒と殺人事件が絡むのも脳が、攻撃的なホルモンアドレナリンがはたらくのです。酒の席でよく覚えていない。よく聞かれるいいわけですが、本当のようです。何事も精進、酒に飲まれ、女に溺れるような人生では人間失格です。仏教では、精神を乱す野菜として、食べるのを避ける教えがあります。確かにどれも、臭いが強いイメージがありますよね。本当の精進料理には、五葷を使いません。五行における五葷古代中国には、自然哲学の五行という考え方があります。五行とは、森羅万象すべてを「木・火・土・金・水」の5つが持つ特徴や性質に当てはめ、その関係を表したものです。

韮(にら)は、肝臓を痛め、怒りっぽくなります。
蒜(にんにく)は、心臓を痛め、落ち込みやすくなる。
薤(らっきょう)は、脾(消化器系)を痛め、思い悩みます。
浅葱(あさつき)は、肺を痛め、悲しむことが多くなります。
葱(ねぎ)は、腎臓を痛め、恐れや不安感が大きくなります。

昔の人は、長い年月をかけて、自然と人体を観察して、法則のようなものを見つけ出していたんです。五葷という野菜は、他の野菜とは特別な考え方があり、あまり積極的に食すものではないようです。動物も五葷を食べない。ほとんどの動物も、五葷を食べません。犬は、ねぎと食べると血液が壊れてしまいます。食べると本当にぐったりしてしまいます。他の動物達も、五葷を食べると体に影響を与えるのを知っているので、食べません。人間も自然界で生きている動物なので、五葷はあまり食べないほうが良いものだと考えられます。菜食する人は五葷は避けたほうが良いようです。ベジタリアンはやさしい人というイメージもあるのではないでしょうか?

という事は、肉を食べた時には五葷を食べないと、バランスが壊れます。肉が入ってる餃子は、ニラやネギはバランスを保ちます。

では、ネギは悪いたべものなんでしょうか?いいえ、毎食の常食としては刺激が強すぎますが。体が弱ったときにこそ出番です。体はいつもネギを食べている人には、反対に薬効効果は薄れてしまいます。風をひいたとき喉に焼きネギをまくといいというのは母の智恵です。ネギの白い部分は、葱白(そうはくと)呼ばれています。この葱白は、れっきとした漢方薬です。ネギのヌルヌルした液体の部分に含まれる、塩化アリルが風邪に効きます。硫化アリルには、消炎作用や鎮痛作用があるだけではなくて、免疫力を高める働きがあります。この効果以外にも、消化液の分泌を促し、新陳代謝を盛んにする働きや、血をサラサラにする働きもあり、これにより、高血圧や糖尿病などに高い効果があります。血液の流れをよくします。更にビタミンB1と結合しやすく、ビタミンB1の吸収を促す働きもあると言われています。ネギを 焼くことによって、ネギに含まれる硫化アリルが出やすくなります。喉に、焼いたネギを貼ることにより、皮膚から吸収されるだけではなく、体温にょって、気化した硫化アリルが呼吸によって吸収されます。市販の喉の炎症を抑える薬も同じです。硫化アリルが入っています。腎臓の悪い人は、ネギはひかえましょう。

お坊さんの、やさしい笑顔とおだやかな心は、精進料理で作られるのです。医食同源、食を学ぶことは、生き方を学ぶことです。

(食養指導士 三橋敏次 拝)

万象すべてを「木・火・土・金・水」の5つが持つ特徴や性質に当てはめ、その関係を表したものです。

その五行の中で、五葷という野菜について、人体のバランスに影響を与えるという考えがあります。

五行 木 火 土 金 水
五臓 肝 心 脾 肺 腎
五葷 韮 蒜 薤 浅葱 葱
情志 怒 喜 思 悲 恐