日本再生への道-大杉幸毅-

NPO日本綜合医学会理事でもある、大杉幸毅氏を紹介させていただきます。
(氏の承諾を得ております。)

関西支部長、食養学院副学院長。BCTA血液循環療法協会会長。手技療法一筋40年以上。療法の指導を通し「おもいやりといたわり」のこころを広め、病人の少ない「癒しの社会」を目指し。診療と健康運動に活躍中。

日本再生への道

健康をめぐる諸問題について

関西部会 理事 大杉幸毅

健康には個人の健康と社会全体の健康があり、それらは不可分の関係にある。我々が健康で天寿をまっとうするためには、個人の意思や努力で達成できることと、一個人の力では解決が出来ない問題、即ち社会的及び自然的環境の問題がある。

WHOで新しく提案されている健康の定義では、「健康とは完全な肉体的(physical),精神的(mental)、Spiritual及び社会的福祉のDynamicな状態であり、単に疾病または病弱の存在することではない。」とされた。これは、1998年WHO執行理事会で、従来健康の定義に「Spiritual」(霊的)が加えられたのである。これは人間の尊厳の確保、生活の質(Quality of  Life)を考えるため必要なものとされている。(1999年52回ジュネーブ総会では改正案は可決せず、継続審議のままである。)

「Spiritual」(霊的)とはどういうことであろうか。これはイスラム圏から提案され、宗教的な意味合いのある概念である。つまりSpiritual Well Being とは、神の思し召しと合致した状態である。日本では古来より仏教文化が主流で、仏教徒が多いが、現在では形骸化して葬式仏教になってしまっている。したがって、信仰心が薄れ、イスラム圏に比較すれば、無宗教に近い人が多いのが現状である。しかし、太古より日本には神道の元になった原始的信仰の対象である八百万の神々の信仰があった。これは自然崇拝であり、自然環境と切っては切り離せない関係であり、宇宙とつながる概念である。近代科学は科学的に実証できないものは認めなかったので、霊的なものには否定的であった。仏教では、輪廻転生という概念があり、今は仮の世界に生きているが、死後の霊的世界のほうが長く、この世(物質世界)もあの世(霊的世界)も連続しているとみなす。死んだら終わりでそこで切れるわけではない。

しかし、科学は物質が全て、目に見える世界しか相手にしていないので、否定してきたが、今やっと非物質の世界が健康の定義の中にみとめられる様になったのである。Dynamicは「健康と疾病は別個のものでなく、連続したもの」との意見が出された。健康と死は対極にあるものではない。健康の反対が病気即、死というわけではなく、延命行為が健康ということにもならない。健康を全うすれば、健全な死があるわけである。つまり大往生である。そして、健康は固定的なものでなく、常にDynamicにゆれ動いている。心と体と魂の調和が取れて安らかな状態であれば良いのである。肉体だけが心や魂と切り離されて生き延びても、それは健康とはいえない。そこで、健康に関して社会的及び自然的環境との繋がりにおいての現在の日本の諸問題を論じ、日本再生への意見を提案する。

問題認識-美しき日本が崩壊しつつある現状

1、現在の日本は、平均寿命は世界最高レベルの長寿国であるが、国民医療費・介護費は異常に高く、少子高齢化社会に突入し国民の高負担、そして借金財政から将来は、財政破綻をきたし、子孫に負の遺産を残すことになる。

2、農産物の貿易自由化、慣行農法による耕地汚染、地力・生産力の低下、農業就労者の高齢化、後継者不足による農業の荒廃により、安全で健康的な農産物が確保できなくなる。

3、環境汚染、森林破壊による命あふれる豊かな自然の崩壊により、大自然の恵みが減少し、野生動物が絶滅してゆき、自然破壊が一層進行し、気象変動による渇水や洪水による大規模な災害が多発するようになった。

4、家庭及び学校教育の崩壊、社会格差による犯罪の増加、議会制民主主義の形骸化と欺瞞性による政治不信と国民不在の党利党略、私利私欲         的政治による政情不安定及び治安の悪化による社会不安の増大が予測される。

5、 地球温暖化、それによる気象変動、砂漠化、食糧不足、環境汚染、資源の枯渇など、地球の病は深刻な症状を呈している。ある環境学者は、今後10年間に、地球規模で有効な手を打たなければ、地球温暖化は取り返しのつかないことになると警告している。しかし、大多数の人々はこの問題を深刻に受け止めず、日々自己の生活に埋没しているのが現状である。これをどうやって乗り切るか、我々人類は試されてい   るのである。

6、経済恐慌

有限な地球資源に依存した市場原理に基づく自由主義経済は、いずれ破綻をきたす宿命にある。すでに食糧と産業資源の奪い合いが始まっている。この問題が国家間で深刻化すると戦争と経済恐慌の可能性が大きくなるであろう。諸外国が日本に食糧と資源の輸出を禁止したらどうなるのか。日本は非常に弱い立場にある。

現状に至った経過と原因―西欧化、文化的植民地化と高度経済成長

日本は明治維新以来約140年間、急速な近代化を推し進め、突っ走ってきた。今、そのツケが回ってきている。近代化とは西欧化と同義であり、約250年間鎖国をしていた東アジアの一小国は、西欧列強の外圧により開国せざるを得なくなった。その結果、いち早く殖産興業、富国強兵によって近代化を達成して列強の仲間入りを果たし、西欧列強を相手に戦い、アジア諸国を西欧の植民地支配から解放するきっかけを作った。しかし、戦後は連合軍に占領されて文化的植民地化され、工業貿易立国へと経済優先政策を実施し、驚異的な高度経済成長を遂げ、経済大国にのし上がった。しかし狂乱的な投機によるバブル経済は崩壊し、その後遺症の不良債権、財政赤字を累積させ、景気回復にあえいでいる。物質的に見かけ上は豊かになったが、その反面、経済格差が広がった。見かけ上という意味は、水以外のエネルギーや鉱物資源を海外に依存しているということであり、食糧に至っては、自給率40%に満たない。そして急速に高度経済成長してきた。そのツケが昭和40年代は公害列島といわれたように、悲惨な水俣病をはじめ様々な環境(大気、河川、海洋)汚染、食品汚染、薬害を経験した。最近では放射能漏れ事故、ダイオキシン・アスベスト汚染、環境ホルモンなど記憶に新しい健康被害がある。また、過労死や自殺、そして、がん、心臓病などの生活習慣病の増加、以前になかったアトピー性疾患、アレルギー性疾患などで国民は苦しんでいる。

昔から「衣食足りて礼節を知る」の言葉があるが、逆に道徳心が低下して犯罪が増加し、最近は青少年の犯罪や痛ましい家庭内尊属殺人が目立っている。また、子供たちの精神力(集中力、我慢強さなど)と学力、体力の低下が教育現場から指摘されている。

その原因の第一は、現在世界を支配している西洋物質文明の破綻が見えてきたことである。現在の科学工業文明は、イギリスを始めとした西欧の産業革命から出発し、大量生産し、世界を植民地化して市場を拡大して大量消費させ、資本を蓄え、経済発展させてきたが、それらは全て地球の資源に依存し、消費することを前提としたものである。世界の工業化は、ここ約50年の間に急速に拡大して資源の浪費を早め、環境を破壊し、地球温暖化という深刻な問題が浮上してきた。特に、世界のどこかで周期的に勃発する戦争は、人命軽視と地球環境および資源浪費の最たるものである。現在の市場経済原理は消費を拡大しなければ経済は成長しない、経済が成長すれば地球資源は消費され減少していくという矛盾を孕んでいる。我々が物質的に豊かになればなるほど、地球環境は破壊され、資源は減少していくのである。つまり、現在の市場経済原理による資本主義は,地球資源及び地球環境を限りなく略奪するという前提で成り立っている以上、有限な地球が破滅するのは自明の理である。

第二に、大東亜戦争後日本の教育、文化は破壊され、占領政策により親米化植民地化されていることである。一応独立国の体裁をとっているが、実態は独立国とは言い難く、憲法は国民の合意なく占領軍の支配下で作られ、その憲法に縛られた自衛隊は自国を自衛できないという矛盾を孕んでいる。占領軍が守るという口実により未だに外国の軍隊が日本各地の基地に進駐し、その施設はわが国が維持している。戦後から続く政権は親米的であり、日本国民が国内で外国人に拉致されても解決出来ず、これは国として最大の恥辱であり、国は国民の生命と安全すら守れないのである。これでは諸外国から軽蔑され、経済援助という名目で国民の税金をばらまいてご機嫌を取るだけのように見える。また戦後は、勝者側の史観による教育で日本の伝統的なものは全て古い因習として否定し、日本人の誇りと自信を喪失させられた。歴史教科書、靖国神社、慰安婦、南京虐殺、領土などの諸問題では、政府は外国からの干渉に毅然とした態度で弁明できないのである。これはまさに亡国の政治であり、人心が乱れる大元である。国のリーダーたる政治家がこのような態度でいるから、若者は大人を信用せず、非行に走るのである。

そして、日本人の伝統的美徳である「和」の精神が否定され、自己を主張する個人主義を植えつけられたことである。日本の社会はお互いに「思いやり」と「いたわり」の心があったから和やかで平和な社会が長く続いてきた。しかし、現在は謙譲の美徳ではなく、自己主張、自己中心の人間が増え、争いや犯罪が増えて殺伐とした社会になり、このままいくと米国のような訴訟社会になるだろう。東日本大震災後の日本人の取った行動は、世界から驚嘆の目で見られた。まだまだ日本には希望がある。

食と農では、戦後の占領政策より「食の植民地化」が進められ、学校給食と食生活改善運動により、日本の伝統的食文化が家庭から消え、肉、卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト、小麦などの食材を使ったパン食を始めとした西洋料理が普及された結果、米の消費が減少して減反政策が進められ、日本の風土に合わない酪農畜産業が普及された。また農産物自由化が進められた結果、日本の小規模米作農家は高齢化、収入の減少、後継者不足で消滅寸前である。その結果、高カロリー、高脂肪、高蛋白食への変化により、欧米型の肺癌、大腸癌、乳癌、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病や以前無かったアトピー性疾患アレルギー性疾患が増加した。しかし、米国ではマクガバンレポート以来、健康的な日本食が普及しまた世界に広まりつつある。そして世界文化遺産に登録された。

また、命や健康よりも経済が優先され、巨大企業のファストフード、ファミリーレストランなどの外食産業やスーパーマーケット、コンビニエンスストアーの進出拡大、ジャンクフード、インスタント食品、自動販売機によるドリンク類の氾濫などにより農薬で汚染された食品添加物入りのニセモノ食品が供給され家畜化が進んでいる。

医療面においても生活習慣病が増加した結果、経済、経営優先により検査漬け、薬漬けの過剰保険診療による国民医療費の高騰に財政が逼迫している。

バブル崩壊後は経済不況によりいっそう労働環境は厳しくなり、超過勤務や時間外労働による過労とストレスの増加から自殺者や心身症が増加している。

また、核家族化や共稼ぎによる家庭教育と家庭料理の崩壊、テレビやインターネット、テレビゲームなどマスメディアによる青少年に有害な情報の氾濫による思考力、集中力、学力、体力の低下が日本崩壊へと拍車をかける。

これからは、日本が名実ともに独立を勝ち取り、心の豊かさ(日本文化の復活と熟成)を育成していき、健全で品格ある社会を取り戻さなければならない。そこで、我々は次の意識改革を進める必要がある。

意識改革

1)健康の重要性の認識

私たちは、両親から受け継いだ「いのち」を粗末にせず、健康で長寿をまっとうすることが一番幸せなことであり、それが両親の愛情に報いることであり、また道にかなったことであることを深く認識する必要がある。国家は国民が健康に学び、働き、生活するための環境整備を最大限整える必要がある。病人、犯罪者の多い国は、政治と文化の荒廃であり、恥ずべきことである。病人の治療、介護、犯罪者 の更正のための負担は、国家の大きな損失である。病人や犯罪者の少ない国は、品格ある文化国家であり、それを第一目標にしなければ ならない。

2)経済よりいのち、健康優先

経済優先の政策から健康優先の政策に転換する必要がある。農業は自然が相手の産業で生産を管理しにくい側面があり、また我々の命の本を自然から頂くのであり、農産物を市場経済に組み入れ商品化することは本質的に間違っている。そこで、食糧は政府が管理流通する仕組みを作る必要がある。

社会的には、健康教育を普及し、環境や食品の汚染をなくし、健康を害する恐れのある労働環境や労働条件は改善されなければならない。食糧自給率を向上させ、有機農法の普及を推進し、健康を害する恐れのある食品、嗜好品は規制もしくは販売しないようにしなければならない。また、薬漬け検査漬け医療にならないように保険制度を改善して医療費の無駄使いを解消し、医原病を減らす。個人的には、生活習慣病の多くの原因は、自分で作っている要素があり、十分に予防可能な疾患であるということをよく周知させ、予防法を普及することが必要である。

3)共存共生

地球が健康でなければ私たちの健康はありえない。地球上の全ての生命は繋がっている。地球上の全ての生命が共生できなければ、人類だけが繁栄することはあり得ない。今、地球が病んでいる。死の惑星になろうとする一歩を踏み出している。その原因は、人間の身勝手な欲望、エゴイズムである。人類だけが繁栄したい、豊かになりたい、楽をしたいというエゴイズムで傍若無人に振舞って、地球上の資源を食いつくし、環境を破壊し、多くの生物を絶滅に追いやり、さらに地球を滅亡に追いやろうとしている。大量生産、大量消費の環境破壊型文明から自然と共生する循環型文明に変える必要がある。環境を汚染することは我々自身の体(内部環境)を汚染することになる。農薬散布、化学肥料施肥、車の排気ガスや工場の排液、家庭ゴミの排出など、全て自分の身に降りかかることであることを深く認識する必要がある。害虫も益虫も善玉菌も悪玉菌も元々自然界にはない。人間の都合で勝手に善だ、悪だ、と分けているだけなのだ。皆、存在価値がある。自然界に無駄なものは一つもない。そこで我々は、自然と一体になり調和して暮らした1万年も続いた日本の縄文文明に学ぶ必要がある。日本古来の八百万の神は、縄文時代から信仰されていたことが縄文土器や土偶から伺われる。豊かないのち溢れる森の文明である縄文文明は世界に例が無く、自然即ちSpiritualと一体となった文明であったことが研究者により発表されている。

4)日本人の誇りと自信

正しい歴史の真実を再認識し、日本人としての誇りと自信を取り戻すことが急務であり、国民の合意に基づく憲法を改正し、自ら自衛できる体制を作る。そこで初めて戦後が終わり名実ともに独立国家といえる。国家間では隷属的でない対等な関係が確立されてこそ独立国なのである。

我々は日本の国と文化に誇りと自信を取り戻さなくてはならない。世界の中で日本ほど自然豊かな美しい国はない。それは大陸の東に位置し南北に長い島嶼で暖流と寒流がぶつかるという地理的条件から来る。かつては豊かな森と清らかな河川と白砂青松の海岸と豊穣の海の国であった。四季折々の季節感は日本人独自の繊細な感覚を培い、芸術(日本画、和歌、俳句、庭園、工芸品など)に表現され、芸術的な日本料理(懐石、和菓子など)を育んだ。争いを好まない和を尊ぶ日本文化は明治維新の欧化政策と大東亜戦争後の占領政策で「収奪と戦争の文明」である西欧文明で破壊されたのである。これからは欧米が日本文化を学ぶ時が来ている。我々は自信をもって日本文化の良さを世界に発信しなければならない。

5)徳育

家庭教育

「三つ子の魂百まで」の通り、幼児の環境、教育(しつけ)が基本的性格をつくり、一生を左右する。立派な人材を育成することが将来の国の平和と繁栄を支える。その意味からすると、どのような価値概念を教育するかということが問題になる。現在の世の乱れの原因は、日本が長年培ってきたよき伝統的教育がなされてないことである。現在の日本の家庭では「しつけ」らしい「しつけ」が殆どなされていないのではないだろうか。家事の手伝いもやらされてない。子供中心に甘やかされ、まるで王様のように育てられている。好きなものばかり食べさせている。これでは、わがままで、自己中心的、忍耐力や我慢強さがなく、感受性が強くストレスに弱い、何をやっても持続性が無い人間を作る。すぐ自殺したり、きれて殺人や放火する、或いは社交性がなく引きこもりや仕事が続かないなどのニートやフリーターを生む、そういった温床の第一の原因は現在日本の家庭環境である。そこで、私は「他者に対する思いやりといたわり」「自律心」と「自立心」を教育の大事な徳目として提案する。この心を涵養する方法として、貝原益軒の「和俗童子訓」にあるように「三分の飢えと、寒さと貧しさで育てよ」という教えがある。子供を完璧に恵まれた温室的環境で育てると、病弱でわがままで忍耐力のないひ弱な人間を作る。農作物でも同じだが、逆境の中でこそ強く逞しい人間が育つという古来の知恵がある。

学校教育

過去の日本は偏差値を重視した知識、知能教育優先でやってきた。いま、その弊害が色々な現象として現れている。人間として一番大事なことは何か、それは人徳教育である。そして次に知育や体育、そのバランスが大事である。国家に取って徳の高い人材を育成することが世界の平和と繁栄のために最も重要なことである。

6)  食育-感謝の心と質の良い少食

家庭料理や学校給食では日本の伝統食を復活することが、日本再生のひとつの大きな柱であり、現在本学会の食養学院で取り組み実践している。

食育を実施するに当たって最も大切なことは、「食べ物はいのちであり、我々のいのちは他の生き物のいのちの犠牲の上に成り立っている。全てのいのちに感謝の気持ちを忘れない。」と言う事を食育を通して子供達に教えることである。従って「慈悲の精神」とは、大食いを慎み少食にすることである。少食にすればするほど質の良い物でなければならない。

日本人に合った質の良い食べ物とは、ビタミン、ミネラルをバランスよく含み、酵素や抗酸化物質、有用大腸菌の餌になるオリゴ糖など多く含んだ「命ある本物の自然食」である。我々日本人は、縄文時代の終わり頃から、数千年間お米を食べてきた民族であり、これらの条件を満たす食品は、玄米、旬の野菜、豆類、海藻類、キノコ、魚介類、そして日本の伝統的な発酵食品である、味噌、醤油、お酢、納豆、漬物などである。いくら良いものでも、食べすぎは体に毒になる。昔から、「量が毒をなす」という言葉がある通り、「腹7分目医者いらず」である。自己の代謝能力以上のものを摂れば、余ったものは、代謝毒として体に蓄積し、血液はドロドロになり、循環が悪くなり、これが生活習慣病の原因であるメタボリック症候群である。

7)自給率の向上と「援農隊」の設立、農育

他国に食糧を依存していては、独立は保てない。そこで自給率を向上させるために農業を援助し、山に落葉広葉樹を植林して豊かな森を再生し、里山を管理する「援農隊」(仮称)を組織することを提案する。徴兵制と同様に、20歳になった日本国民は徴農され、1年間農漁村に派遣され、農業、植林、伐採、漁業、伝統食作り(味噌、諸油、漬物、納豆つくりなど)体験をして日本の自然と触れ合い、いのちを育てることの厳しさと感動を体験し体で感じるのである。これをやれば若者が変わり、日本は必ず良くなるであろう。農業の再建こそ日本再生の第一歩である。また、幼稚園や小学校から学校教育の中に土と親しみ触れある農業体験学習を取り入れ、小・中・高とやっていけばこの制度は無理なく実施できるであろう。

8)志しを持ち、自己実現を達成する

個人としては、何のための健康か。それは目標や自己実現のための健康であり、健康オタクでは商業主義のターゲットになるだけである。健康に過ごすには、生きがいやりがいを持ってイキイキ生きることが一番大事である。「私達は何のために生きているのか?」人生の目標を持ち、それに向かって努力することが生き甲斐であれば、節度、摂生をわきまえ、少食を継続することは可能である。しかし、人生の目標もなく漂う浮き草の如く流されていては「酔生夢死」になり、情報に振り回される。自己確立や信念がなければ、情報に左右されるだけだ。ストレスはたまり、その解消のために過飲・美食・過食に走るか、或いは反社会的行為に走る。したがって、私達は自己確立をし、自己の人生の高い目標(夢)を持ち、それに向かって努力することが大切である。

9) 国民の意識改革で社会が変わる

国民の意識が変われば社会が変わる。世論が政治や企業を動かす。不正をした大手食品メーカーも健康番組でデータを捏造したテレビ会社も世論の力で改善せざるを得なくなった。それにはまず、自分が意識を変えることからはじめなければならない。

10)病気の予防は、こころの健康が第一

人はいつか必ず死ぬが、何で死ぬか、それは今現在の想念や生活の仕方によって左右される。宇宙の法則に則った生き方とは、全てのいのちを大切にして、感謝することである。そして、いつも心が澄み渡り、ストレスに負けない不動心を養い、自立心、克己心を涵養することである。つまり我々自身の心身の自己管理能力の高さが、品格ある社会を作っていくことになる。それは、我々の先輩の精神的骨格でもあった。