食の安全

今、食品の安全性が問われています。生産者は、許可された範囲農薬を使い、加工メーカーは許された範囲の食品添加物を駆使して、美味しく簡単便利な食品を次々に開発し、食文化はかってない華やかな時代になっています。自然界の存在しない遺伝子さえ組み換えられているのです。それぞれの安全性は担保されていても、複合的な安全性は無限大であり、不可能です。疑わしくは、罰せずという言葉を悪用すれば、たとえ食で死ぬことがあっても、食べたものと死因との関係が証明できなければ、有罪に持ち込むことはできません。今日は、考える一例として、和歌山で発生したカレー事件を検証し、ヒ素検出がいかに困難か?たとえヒ素が検出されても、犯人を特定できないという事実を知り、教訓を生かしたいと思います。自分が信じられない食べ物を口にしないことしか、自分を守る一番の方法なのです。

歌山毒物カレー事件(わかやまどくぶつカレーじけん)とは、1998年7月25日夕方に和歌山県和歌山市園部で発生した毒物混入・大量殺傷事件である。カレー事件が起きたとき林夫妻が疑われたのも、ヒ素を使って保険金詐欺を繰り返していたこと出来上がったカレー鍋の見張り番の一人でもあったことから、犯人としてクローズアップされた。当初、「集団食中毒」と誤認されたが、1週間後、「ヒ素も混入されていた」ことが判明した。つまり、ヒ素の混入が判明したことで、警察は「犠牲者たちの死因はヒ素だった」と発表した。起訴できないと考えた検察は、東京理科大学理学部応用化学科教授の中井泉に、健治がかつて所持していたドラム缶入りヒ素や、林家所有のヒ素、事件現場で押収された紙コップに付着していたヒ素等の鑑定を依頼した。中井は大型放射光施設「スプリング8(SPring-8)」を使って、これらのヒ素が「同一である」という結論を導きだしかたが、中井鑑定の「同一」とは、これらのヒ素が「同一の工場が同一の原料を用いて同一の時期に製造した亜ヒ酸である」という意味に過ぎなかったのである。ヒ素の検出に使われた機械は当時日本で1台しかなく、ヒ素の検出という目的に限っても3月余りを要する気の遠くなるような作業を延々と続けた結果で、人件費・費用を含めれば莫大な金額がかかったであろう。しかし、人の命の真実を晴らすためには必要な作業である。江戸時代にも、ヒ素で殺人が行わたらしいという文献はあるが、本当のことはわからない。また、本人が否定するかぎり、えん罪の可能性もゼロではない。

SPring-8とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です