高濃度茶カテキンは害

 もう50年以上も昔のことですが、筆者が子供の頃、夏休み中に近所の子供たちの町内対抗の野球がありました。その試合中に八百屋のおじさんが、大きなすいかをグラウンドに持って来て、その場で切って大胆に塩を振って振る舞ってくれました。敵チームも、いつもは仲良く遊んでいる友達ばかりですから、試合を一時中断して一緒にすいかを食べ、その後、試合を続行しました。その試合に勝ったのかどうか記憶は定かではありませんが、そんなことはどうでもよかったのでしょう。覚えているのは、そのすいかがすこぶるおいしかったことです。

 考えてみれば、これは理にかなっています。つまり、汗をかいてミネラル分が足りなくなったところに、すいかに含まれるカリウムと塩のナトリウムを補給しているわけですから、おいしく感じないわけがありません。

 また、血流を促進するピラジンという成分や、興奮した神経を落ち着かせて抗ストレス効果をもたらすギャバ(GABA)という成分も含まれています。麦茶の成分が炎症を抑える作用があることも証明されています。さらに、P-クマル酸という成分が活性酸素を無害化し、発がん性物質を除去する働きがあることもわかっています。このように、麦茶はなかなかの優れものです。夏の暑い盛りに飲む麦茶がおいしいのは、こういう栄養学的背景があったわけでこのすいかと同じくらいおいしさが記憶に残っているのは麦茶です。麦茶は、大麦の外皮をはいで焙煎した上で煎じた飲み物ですが、意外なまでに栄養価が高いのです。まず、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンなどの、いわゆるビタミンB群と呼ばれる必須ビタミンが豊富に含まれています。ビタミンB群は水溶性ビタミンで、炭水化物や脂質をエネルギーに変換する時に必要な栄養素です。