甲田光男 肉食半減で8億の飢えた人々を救おう

肉食半減で8億の飢えた人々を救おう
1996年11月にイタリアのローマで世界食糧サミットが開催され、現在世界には飢えて困っている人が8億人もいるという調査報告がありました。また、世界的な食糧不足の危機も迫っています。それなのに、世界の食糧増産は実に悲観的と言わざるを得ない状態です。(人口爆発、経済成長や地球温暖化による農地の激減、世界的な水不足、砂漠の拡大、オゾン層の破壊や酸性雨)
それらの問題を解決するために、私は次のような提案をしたいと思います。それは、世界の人たち、その中でも先進国の人々が現在消費している肉食の量を半分に減らすということです。そしてまず日本が人々の先頭にたって、その模範を示す意味で肉食半減キャンペーンを大々的に展開していただきたいのです。そして、その運動が全世界の人々に拡大していくことを願っています。
もし、全世界の人々の大半がこのキャンペーンに賛同して、それを実行に移していただくならば、牛肉の消費が半分に減り、牛の飼料に使っていたトウモロコシや小麦が浮くわけです。今、世界で生産されているトウモロコシの量は約6億トンで、そのうち4億トンが牛の餌などに使われています。もし、牛肉半減のキャンペーンが成功すれば4億トンの半分、つまり2億トンのトウモロコシが節約できるという計算になります。これだけの量で8億の飢えた人々を救うことができるのです。肉食のために穀類や豆類が飼料に回されていることが食糧危機い拍車をかけていることも明らかです。
少食が世界を救う
私たちは今後、好むと好まざるとにかかわらず、少食を避けて通れない時代に入り、そのような生活パターンに慣れ親しんで新しい食事感を確立していく必要があります。少食が嫌いだといって、従来の食事をそのまま続けれいれば世界的な食糧不足に陥って、あちこちで食糧の奪い合いが起こり、大きな争いにまで発展して。たくさんの人々がその為の犠牲になってしまうことでしょう。そのような悲劇を起こさないように、今から少食の準備をしておくことです。日本が世界の各国に先駆けて率先して、国を挙げての少食実践に踏み切るというような政策をとってほしいものです。そうするならば、まず病人は激減し。医療費32兆円が10兆円以内に節約できると思います。このようなモデルができると、必ず
後につづく国が出てくるもので。やがては全世界の人々が少食を習慣とする社会を構成し、20世紀よりも一段と精神的に充実した新しい世紀が誕生するわけです。
人類の理想は(夢)はなんといっても、この地球を愛の思いでいっぱいにあると思います。これまでの人類の歴史は本当に戦いの連続であったといっても過言ではないでしょう。弱肉強食、それも近親間で殺しあうことも少なくなかったのです。これは、現在もその通りで、子供が親を平気で殺し、親もまた子供をころすというような残虐なニュースが毎日のように出てくるではありませんか。このような人類は一体将来どのようになるかと心配している人も多いと思います。絶望的になっている人も少なくないでしょう。だからこそ私たちはぜひとも争いのない本当に平和な社会を作りたいと切望しているわけです。したがって、この地球を愛の想いで一杯にし、全く争いのない平和な地球を建設していこうという夢だけは絶対に捨てない。この地球上に住む人達は絶対に争わないで、すべての人々が親切で、各家庭にはこのように本当の平和な薬園になる。このような地上の楽園を作ることを目標に人類は絶えず努力しながら進化してゆくに違いないと私は信じ切っております。
(肉食半減で8億の飢えた人々を救おう)月刊綜合医学増刊号NO39より