安全な食べ物を作って食べる会

4月15日「週刊農林」の記事に目がとまった。 日本有機農業研究会会員 若島礼子氏の寄稿である。以下はその抜粋と関係ホームページから引用した。

私は生産者ではない。三芳村生産グループと提携している「安全な食べ物をつくって食べる会」の会員、つまり消費者だ。
私がこれほど三芳野菜を人に自慢できるのは、提携関係が40年も続いており、生産者のことも、野菜が育つ田畑のある環境もよく知っているからである。

会員は子どもをつれて、孫をつれて、縁農(三芳で収穫の手伝いや草取りなどをし、生産者とのご縁を作る機会という意味で「縁農」といい、野菜やみかんの収穫、草取りなどの縁農の企画をたて、生産者と交流を深める。)に、新穀感謝祭に、三芳を訪れる。三芳は会員のふるさとだ。そこに行けば生産者の誰かに必ず会える場所だ。
食べる会は1974年に111名でスタート。現在、首都圏に750名の会員がいる。

三芳村生産グループ(千葉県南房総市)は1973年に18戸でスタート。現在26戸の農家が全耕地を無農薬・無化学肥料で栽培している。ビニールハウス等は使用せずに、年間約100種類の作物を生産している。各農家の耕作面積は田畑併せて平均約1.2ha、平均180羽の鶏を飼い、有畜複合農業を家族で営んでいる。

生産者は、毎週消費者のもとへ野菜を届ける。年間51回だ。欲しい野菜を注文するのではなく、三芳で生産された作物を、会員みんなで分けるという考え方である。

食べる会のホームページの入会案内には、こうある。
三芳村生産グループを軸とする生産者との提携によって、子孫にわたる生命と健康をまもるために、本来あるべき農業と食生活の実現を目指すことが目的。
特に三芳村生産グループとの関係において、次の事項を基本方針として提携をしているとあり、
1)  当会は原則として生産者の生産物を全量引き取り、全会員に平等に配分する。
2)  当会は生産者により価格決定権を尊重する。
3)  当会は生産者がその目的に沿って試みる農業生産や配送等に対して生産者とともに協力し責任を負う。

このホームページにあるこんな思いで、「安全な食べ物をつくって食べる会」を立ち上げました・の部分は読み応えがあり、説得力があった。

若島氏の寄稿の続き
5大疾病および高血圧、肥満、脂質異常症などは、食生活、喫煙、運動不足、飲酒などの生活習慣病が発症や進行に関係する「生活習慣病」であるといわれている。
日本の死亡の約6割は生活習慣病なのだが、健康問題はきわめて個人的なことで、社会的な問題だという認識をもたない人が多い。その背景には、食べ物が生き物のいのちであるという認識が低く、お金さえ出せば、どこからでも、いくらでも、安く簡単に手に入るという思い込みがあるのではないか。
食べ物はいのちなのだ。人間は種の1粒も作り出せないのだ。いのちに値段はつけられない。いのちの売り買いはできない。そして人間は、他の生き物のいのちを食べなければ、生きられないのだ。
「食足りて、真の食を知る」ときがきた。健康を生きるために、日本人は何を食べればいいのか、それは、どうすれば得られるのか、40年の日本の有機農業提携運動の歴史と経験から考えていきたい。