食育の絵本

生きていくうえで基本となる、毎日の食事。子育ての重要ファクターの1つとして、お子さんに食べ物の大切さをきちんと理解してほしい、食べ物に感謝する気持ちを育んでほしいとお考えになるご両親はたくさんいらっしゃると思います。今回は、食べ物の大切さを教えてくれる食育の絵本を5冊、ご紹介します。

「いただきまーす!」 著:二宮由紀子

二宮由紀子(著) 荒井 良二(イラスト) 解放出版社
毎日食べている食事が、もし材料そのままでお皿にのってたらどうする?という視点から、食べ物が、何からできていて、どんなふうにたくさんの人の手によって食べ物になっていくのかをユーモアのある文章と、明るい絵で子供たちにやさしく教えてくれます。 絵本を通して、みんなが命をいただいて生きていることをわかりやすく説明し、どうして好き嫌いをしてはいけないのか、どうして残してはいけないのかが、子供にもよく伝わるようになっています。食べ物の大切さ、そして、あらためて説明しようとすると、とても難しい、「いただきます」の意味を教えるのにおすすめの本です。

「いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日」 (講談社の創作絵本)

坂本義喜(原案)内田美智子(作)魚戸おさむとゆかいななかまたち(絵)講談社
毎日の生活の中で、食事をしているときに「命をいただいている」という実感がわくことは少ないですが、食肉センターで牛を「とく」仕事をしている坂本さん、息子のしのぶ君、そしてある日、坂本さんの所にやってきた、今まで女の子にずっとかわいがられて育ってきた牛のみいちゃんのドラマをとおして、食べ物に感謝する心が培われる食育に大変適した素晴らしい絵本です。すべての良書がそうであるように、子供だけではなく大人も考えさせられる内容になっています。「JIN-仁-」を書いた漫画家、村上もとかさんが絶賛し、朝日新聞の「天声人語」欄でも取り上げられ、5万部を突破した人気の絵本です。

「にんげんはたべたものからつくられる 」(かしこいからだ絵本シリーズ)

竹村俊子(文)木月すみよし(絵)ナート編集部
おばあちゃんと2人の子供のおしゃべりから、なんでも食べることの大切さ、かっこよさをユーモアたっぷりに教えてくれる、とっても楽しい絵本です。このお話は著者の竹村俊子さんの自身の子育ての過程で生まれたのだそうです。また、竹村さんの17年にわたるオーガニックレストランを開いていた経験から、食と体の相関に驚いた体験も存分に生かされているとのこと。実際に食のプロが書いたお話だから説得力があるのだと思います。ミュージシャンの矢野顕子さんも、こちらの絵本を推薦されています。

「やさいのおしゃべり」 作:泉なほ

泉なほ(作)いもとようこ(絵)金の星社
お肉やスイーツとは違って、子供に敬遠されがちな野菜。子供の野菜嫌いに困っているご両親も多いのではないでしょうか?この本は、冷蔵庫の野菜たちのおしゃべりから、それぞれの野菜の食べてもらえるのかな?という心配や、食べてもらえることになったときのうれしさがよく伝わる絵本です。「野菜を食べなさい!」と何度いっても聞かない子供も、この本を読むことで、野菜に対する考え方がちょっぴり変わるかもしれません。野菜嫌いの子供や、子供にもっと野菜好きになってもらいたいときに、特におススメしたい絵本です。また、ついつい野菜を買いすぎてしまい、冷蔵庫で腐らせて捨ててしまうことのあるお母さんにもおススメの1冊です。

「しんでくれた」 詩:谷川俊太郎

谷川俊太郎(詩)塚本やすし(絵)佼成出版社 
タイトルだけ聞くとずいぶん衝撃的に聞こえるかもしれませんが、力強い絵と詩を通して、私たちが生きていくために食べ物になるために「しんでくれた」動物たちに自然に感謝を抱かせてくれる絵本です。詩人の谷川俊太郎さんはこの詩をあるイベントで朗読し「つまり『いただきます』ということですね」 とまとめられたのだそうです。また、谷川さんは絵本の帯コメントで「『いのちは いのちをいけにえとして ひかりかがやく』そのことを わすれたくありません」。とも言われています。食育の原点ともいえる考え方だと思います。

次の記事

究極のご飯の炊き方