器から広がる食育

9月9日#125“うつわ”から
広がる食育

 

和食器を通して日本の食文化を伝えたいと、都内の小学校で去年から実施されている出前授業『うつわから広がる食育』。2016年6月、豊島区立豊成小学校の児童が体験学習した。

5年生が学ぶのは、和食器に表現された自然観や、もてなしの気持ち。雷や雲、雪や松竹梅など、四季を表す文様やその意味を解説するのは、食器メーカー・三信化工の海老原誠治さん。松竹梅がめでたいとされる理由をこう話す。「春が来て嬉しい気持ち、春を待ち望む気持ちが、松竹梅の中に秘められていて、めでたいという言葉につながってきた」と。

続いて、オリジナルの文様作りに挑戦。雲よりも高い富士山を描いた児童は、「富士山は日本一高い山だということを表現したくて。昔の人は、器の絵も楽しんでもらおうと思って創った。料理と器が一つになって芸術なんだと思う」と話す。給食は、ござを敷いてお膳を据えて食べた。

2年生を対象にした授業は、教材用の器をあえて割るというもの。海老原さんは、「器は、壊れてしまったら決して元に戻らないかけがえのないものだということを実感してほしい」と、児童とともに茶碗を割り、児童はテープで復元を試みる。が、元に戻らない茶碗に、「お茶碗を割ったときに、かわいそうだと思った」「これからは大切に使って、いろんなモノを大切にする」と話す子どもたち。

江戸時代の茶碗も手にした子どもたち。”金つぎ”と呼ばれる修繕のあとがある茶碗だ。器を大切に扱ってきた先人の知恵を知って、子どもたちは感嘆する。